クレアチンの効果と飲み方|1日5g・ローディング不要【薬剤師が解説】
クレアチンは、サプリの中で唯一「飲む価値がある」と言い切れるものです。ただし期待値を間違えると、9割の人が1袋でやめます。
私が2年以上飲んで得た効果は、限界のセットであと1回粘れる日が増えた——それだけです。飲んだ瞬間に力が湧くようなことはありません。でもそれこそがクレアチンの効き方で、それを知らずに飲むと「効かなかった」で終わります。
この記事では、飲み方(量・タイミング・期間)と選び方を、薬剤師の視点で整理します。健康診断で慌てないための注意点も入れました。
※本記事は一般的な健康情報です。腎疾患などで治療中の方は主治医・薬剤師にご相談ください。
結論|この5つだけ守ればいい

| 論点 | 結論 |
|---|---|
| どれを買う? | クレアチンモノハイドレート。他の形が勝つ根拠はない |
| ローディングは? | 不要。3〜5g/日を4週間で同じ場所に着く |
| 1日何g? | 5g。「少量でOK」の宣伝は当てにしない |
| いつ飲む? | いつでもいい。続けやすい時間に固定する |
| 休養日は? | 飲む。効くのは血中濃度ではなく筋肉の飽和度 |
判断は最低4週間続けてから。ここまで待たずにやめる人が本当に多いです。
クレアチンは「あと1レップ」のサプリ
筋肉が力を出すときの燃料はATPですが、筋肉が持っているATPは数秒で尽きます。それを作り直すのが、筋肉に貯めてあるホスホクレアチン。クレアチンを飲んで貯蔵量を増やすと、ATPの作り直しが速くなります。
つまり効くのはこういう場面です。
| 効きやすい | 効きにくい |
|---|---|
| 高重量×低回数(1〜10レップ) | 長距離のランニング |
| セット間の回復 | 低強度の有酸素 |
| 短いダッシュの反復 | 柔軟性・可動域 |
ここが誤解されやすいのですが、クレアチンは筋肉を直接大きくする成分ではありません。「あと1レップできる → 総ボリュームが増える → 結果として筋肥大が進む」という間接的な効き方です。
だから劇的な体感がないのが正常で、むしろ飲んだ直後に力が湧くような感覚があるほうが疑わしい。判断するなら記録アプリの重量とレップ数を見てください。「あと1レップ」は記憶ではなく記録にしか残りません。
飲み方①|ローディングは不要
「最初の1週間は1日20g」というローディングは、ほとんどの人には要りません。行き先が同じだからです。
| 方法 | 飲み方 | 飽和するまで |
|---|---|---|
| ローディングあり | 20g/日を5〜7日 → 3〜5g/日 | 約1週間 |
| ローディングなし | 3〜5g/日を継続 | 約4週間 |
研究でも、3g/日を28日続けた場合と20g/日を6日続けた場合で、筋肉中のクレアチン増加はほぼ同じでした。ローディングは「早く着く」だけで、「遠くに行ける」わけではありません。
しかも一度に大量に飲むとお腹がゆるくなりやすい。「クレアチンで腹を壊した」という話の大半はこの時期に起きています。大会前など期限がある場合を除けば、飛ばして問題ありません。
飲み方②|1日5g・休養日も飲む
維持量は1日3〜5g。迷うなら5gでいいと思います。3gは最低ラインで、体重が重い人ほど必要量が増えるからです。
そして見落とされがちなのが休養日。クレアチンは「飲んだ日に効く」ものではなく、筋肉に貯めておく在庫です。在庫は少しずつ減るので、トレーニングをしない日も同じ量を飲みます。「トレ日だけ飲む」が一番もったいない飲み方です。
1日飲み忘れても、翌日に倍量を飲む必要はありません。在庫はそこまで急に減りません。
飲み方③|タイミングは気にしなくていい
「トレ前かトレ後か」はよく聞かれます。正直に書くと、トレ後がわずかに有利かもしれないというのが現時点の答えです。3件の研究をまとめた分析では、筋量の増加はトレ後のほうが有利(p=0.04)でした。ただし筋力では差がなく、根拠になった研究も3件だけ。著者自身が「限られた知見であり、さらなる研究が必要」と書いています。
大事なのは飽和させることなので、続けやすい時間に固定するのが正解です。私はトレ前にしています。効果を狙ってではなく、ジムに行く前という行動が固定されていて飲み忘れないからです。
なお「カフェインと一緒だと打ち消される」という説は、1996年の研究1本が出所で、その後再現されていません。プレワークアウトは普通に両方入っています。コーヒーを我慢する必要はありません。
選び方|モノハイドレート一択でいい
クレアチンには、モノハイドレートのほかにクレアルカリン(緩衝化)・HCl・エチルエステルなどの形があります。売り文句は「吸収がいい」「少量でいい」「お腹に優しい」。
結論から言うと、モノハイドレートを上回ることを示した査読論文はありません。
理由は、そもそも解決すべき問題が存在しないからです。たとえばクレアルカリンは、モノハイドレートをアルカリ側にpH調整(緩衝化)したもので、原料そのものは同じ(製品の原材料表記も「クレアチンモノハイドレート」であることが多い)。売り文句は「胃酸で分解される前に吸収させる」ですが、モノハイドレートは胃を通ってもほとんど分解されず、大半がそのまま血中に入ります。塞ぐべき穴が最初から空いていないので、塞いでも何も変わらない——というのが実態です。
| 形 | 宣伝 | 実際 |
|---|---|---|
| モノハイドレート | 昔からある標準品 | 効果・安全性・価格すべて基準。1kg数千円 |
| クレアルカリン | 吸収がいい・少量でOK | 中身はpH調整したモノハイドレート。直接比較でも上回らなかった |
| HCl・エステル | 溶けやすい・少量でOK | 貯蔵量を増やす根拠は示されていない |
特に注意したいのが「少量でOK」という表示です。クレアルカリンとモノハイドレートを直接比べた研究では、メーカー推奨量(1.5g/日)のグループは筋肉中のクレアチンがほとんど増えませんでした。形を変えても、必要な量は変わらないと考えたほうが安全です。
錠剤タイプは「粒数」ではなく「g数」を見る
これは私自身がやらかした話です。持ち運びが楽なので錠剤タイプ(1粒300mg/1日9粒)に乗り換えていたのですが、計算すると1日2,700mg、実質のクレアチンは1.5g前後。推奨量5gの3分の1以下でした。
パウダーなら毎回スプーンで5gを計るので意識しますが、錠剤は「9粒」としか意識しません。私は次からモノハイドレートのパウダーに戻します。
買うなら「クレアチンモノハイドレート」と書かれた純度の高いもの(ドイツ産のCreapure原料なら確実)で十分です。サプリ全体の優先順位は本当におすすめしたいサプリメント9選にまとめています。
薬剤師として伝えたい注意点4つ
① 健康診断で「クレアチニンが高い」と出ることがある
これは知らないと焦ります。クレアチンを飲むと、血液検査の血清クレアチニン値が上がることがあります。
クレアチニンはクレアチンの代謝産物で、腎機能の指標に使われる数値です。つまり摂取量が多ければ、腎臓が正常でも数値だけ上がる。筋肉量が多い人の値が高くなるのと同じ理屈です。
対策は簡単で、採血の前に「クレアチンを飲んでいる」と伝えること。これだけで無用な再検査を避けられます。
② 健常者の腎臓に問題はない。ただし例外はある
「クレアチンは腎臓に悪い」は根強い誤解ですが、推奨量の範囲であれば健常者に腎障害は起こしません。長期間の摂取データでも有害な影響は確認されていません。
ただし腎疾患の既往がある方、腎機能に影響する薬を飲んでいる方は別です。自己判断せず、主治医か薬局で相談してください。
③ 体重が1〜3kg増えるのは「水分」
クレアチンは筋肉細胞に水を引き込むため、飲み始めに体重が増えることがあります。これは体水分で、脂肪ではありません。
問題は減量中のメンタルです。順調に落ちていた体重が急に2kg戻れば心が折れます。減量の途中で飲み始めるのは避けるか、体重計の数字だけで判断しない前提を先に作っておくほうが安全です。
④ 「ハゲる」の根拠は研究1本だけ
出所は2009年のラグビー選手を対象にした研究1本で、DHTというホルモンが上がったというもの。ただしその後再現されておらず、上昇したDHTも正常範囲内、脱毛そのものは測定していません。近年のレビューでも「クレアチンが脱毛を起こす証拠はない」と結論されています。
よくある質問(FAQ)
Q. どれくらいで効果が出ますか?
最低4週間です。ローディングなしなら筋肉が飽和するのにそれだけかかります。2週間でやめるのは、飽和する前に判断していることになります。
Q. やめたらすぐ元に戻りますか?
数週間かけてゆっくり戻ります。急に力が抜けることはありません。増えた分の水分も抜けて体重は戻ります。
Q. プロテインと一緒に飲んでいい?
問題ありません。むしろシェイカーに一緒に入れるのが一番忘れにくいです。糖質と一緒だと取り込みが良くなるという報告もあるので、食後やプロテインとの併用は理にかなっています(→プロテインを飲むタイミング)。
Q. 数ヶ月飲んで数ヶ月休む「サイクル」は必要?
不要です。やめれば体内での合成は元に戻るので、通年で飲み続けて問題ありません。
Q. 女性が飲んでも大丈夫?
問題ありません。効果の仕組みに性差はなく、安全性のデータも同様です。ただし水分による体重変化は起こるので、先に知っておいたほうがいいとは思います。
まとめ|期待値さえ間違えなければ、コスパは高い
- クレアチンは「あと1レップ」を買うサプリ。筋肉を直接増やす成分ではない
- ローディング不要。3〜5g/日を4週間で同じ場所に着く
- 1日5g・休養日も飲む・タイミングは自由。続けやすさが最優先
- 形はモノハイドレート一択。「少量でOK」の宣伝には乗らない
- 錠剤なら粒数ではなくg数を確認する(私は1.5g前後で回していました)
- 薬剤師として:採血前は申告/腎疾患は相談/体重増は水分/脱毛説の根拠は1本のみ
月あたりのコストはモノハイドレートなら数百円。正しい形で、正しい量を、4週間続ける——それだけで元は取れるサプリだと思っています。
参考文献
本記事の数値・結論は、以下の一次資料に基づいています。
- Kreider RB, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18. PubMed(安全性・推奨量の全体像)
- Antonio J, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021;18:13. PMC(ローディング/腎機能/体重増/脱毛/他の形の比較)
- Hultman E, et al. Muscle creatine loading in men. J Appl Physiol. 1996;81(1):232-237. PubMed(3g/日×28日と20g/日×6日で筋内クレアチンの増加が同等)
- Jagim AR, et al. Kre-Alkalyn supplementation does not promote greater changes in muscle creatine content, body composition, or training adaptations in comparison to creatine monohydrate. J Int Soc Sports Nutr. 2012;9:43. PMC(クレアルカリンとの直接比較)
- Antonio J, Ciccone V. The effects of pre versus post workout supplementation of creatine monohydrate on body composition and strength. J Int Soc Sports Nutr. 2013;10:36. PMC(摂取タイミング)
- Forbes SC, Candow DG. Timing of creatine supplementation and resistance training: a brief review. J Exerc Nutr. 2018;1(3). 全文(タイミングのメタ分析。筋量はトレ後が有利、筋力は差なし)
- Vandenberghe K, et al. Caffeine counteracts the ergogenic action of muscle creatine loading. J Appl Physiol. 1996;80(2):452-457. PubMed(カフェイン併用説の出典)
- Trexler ET, Smith-Ryan AE. Creatine and caffeine: considerations for concurrent supplementation. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2015;25(6):607-623. PubMed(その後の検証)
- van der Merwe J, Brooks NE, Myburgh KH. Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players. Clin J Sport Med. 2009;19(5):399-404.(「ハゲる」説の出典)
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