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ビタミンDと筋トレの関係|日光不足の人ほど重要【薬剤師が解説】

ぽんず
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私はマイプロテインのビタミンD3を毎日1粒飲んでいますが、正直に言うと体感はゼロです。パンプするわけでも、力が出るわけでもない。それでも飲み続けているのは、薬剤師として「これは体感で判断するサプリではない」と分かっているからです。

理由は私の生活にあります。薬剤師の仕事は日中ほぼ屋内。日本人の健康な成人を調べた研究では、98%がビタミンD不足に該当したという衝撃的な報告があり、屋内仕事の私はまさにその典型です。

ビタミンDは「骨のビタミン」と思われがちですが、実は筋肉にもビタミンDの受け皿(受容体)があり、不足していると筋力にも影響します。この記事では、筋トレ民にとってのビタミンDの立ち位置と、実際の飲み方を整理します。

※本記事は一般的な健康情報です。持病で治療中の方は主治医・薬剤師にご相談ください。

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結論|「飲むと強くなる」ではなく「不足すると損をする」

ビタミンDに期待される効果(筋力・筋肉量・骨・不足リスク)と研究の結論を対比した図解
期待 研究の答え
筋力 不足している人が補うと、少し上がる。足りている人がさらに飲んでも上乗せはない
筋肉量 直接は増えない。プロテイン・クレアチンの代わりにはならない
骨・ケガ予防 ここが本業。骨密度の維持に必須で、アスリートでは疲労骨折との関連も指摘される
不足リスク 日本人の98%が「不足」。屋内仕事×屋内トレの人は特に条件が揃っている

つまりビタミンDは、クレアチンのような「足すと強くなる攻めのサプリ」ではなく、「欠けている穴を埋める守りのサプリ」です。攻めと守りは比べるものではないので、優先順位の表では地味な位置にいますが、不足している確率が日本人では極端に高いという一点で、私は飲む価値があると判断しています。順に説明します。

ビタミンDは「骨のビタミン」だけじゃない|筋肉にも受容体がある

ビタミンDの一番有名な仕事は、腸からのカルシウム吸収を助けて骨を強くすることです。薬剤師としてもここは日常業務の範囲で、骨粗鬆症の治療には活性型ビタミンD製剤という「薬としてのビタミンD」が普通に使われています。素性のはっきりした栄養素です。

あまり知られていないのが筋肉との関係です。

  • 筋肉の細胞にはビタミンD受容体(VDR)があり、ビタミンDは筋肉に直接シグナルを送っています
  • ビタミンDが極端に欠乏すると、筋力低下や筋肉痛が症状として現れることが昔から知られています
  • 高齢者医療の世界では、ビタミンD不足と転倒・筋力低下の関連が大きなテーマになっています

「骨のビタミン」というより、「骨と筋肉、つまり運動器全体のビタミン」と捉えるほうが実態に近い。筋トレ民と無関係なはずがない栄養素です。

日本人の98%が「不足」という現実|屋内トレーニーは条件が揃っている

ビタミンDが他の栄養素と決定的に違うのは、食事より日光が主な供給源であることです。皮膚が紫外線(UVB)を浴びると、体内でビタミンD3が作られます。逆に言えば、日光を浴びない生活は、それだけでビタミンD不足に直結します

そして日本人のデータは強烈です。東京で健康診断を受けた成人約5,500人を精密な測定法で調べた研究では、98%が学会の基準値(30ng/mL)に届いていませんでした。しかも若い世代ほど欠乏が多く、体内のビタミンDはほぼ日光と動物性食品由来(D3)で、きのこ由来(D2)はほとんど検出されなかったという結果です。

「鍛えている人は大丈夫」ということもありません。世界のアスリートを対象にしたメタ分析でも、56%がビタミンD不十分。特にリスクが高いのは以下の条件でした。

  • 屋内競技の選手
  • 緯度の高い地域に住んでいる
  • 冬〜春の季節

これ、ジムでトレーニングする社会人そのものです。私の場合、薬剤師の仕事で日中はほぼ屋内、トレーニングもジムの中。朝5時起きの朝トレで朝日を浴びる習慣はありますが、朝の弱い日差しを短時間浴びる程度では、ビタミンDの生産量としては心もとない。「運動習慣はあるのに日光だけがない」という、現代の筋トレ民に典型的な生活です。

効果|筋力は「不足を補えば少し上がる」が正直なところ

では、飲むと強くなるのか。研究の答えは条件付きです。

  • 複数の研究をまとめたメタ分析では、ビタミンDの補給で筋力が小さいながら有意に向上しました。効果がはっきり出たのは、もともと血中ビタミンDが低かった人たちです
  • 18〜40歳の健康な成人に絞ったメタ分析でも、補給で上半身・下半身の筋力が向上したと報告されています
  • 一方で、筋肉量や瞬発力への効果は確認されていません。すでに足りている人が大量に飲んでも、さらに強くなるわけではない

まとめると、「欠乏による見えないマイナスを、ゼロに戻す」のがビタミンDの仕事です。クレアチンのように「プラスを積む」サプリではありません。

私の体感がゼロなのも、これで説明がつきます。欠乏の解消は「調子が悪くならない」という形でしか現れないので、本人には分からない。体感がないから効いていない、とは言えないタイプのサプリです。逆に言えば、体感を求めて買うと確実に外れます。そこはアルギニン・シトルリンと正反対です。

骨・ケガ予防|筋トレ民にとっての本命はむしろこっち

筋力への小さな効果より、私が重視しているのは骨です。

筋トレは骨に負荷をかける行為で、長期的には骨密度にプラスに働きます。ただしそれは材料(カルシウム)と、それを吸収させる仕組み(ビタミンD)が揃っていればの話。ビタミンD不足のまま高重量を扱い続けるのは、材料不足の工事現場に発注だけ増やすようなものです。

アスリートの研究では、ビタミンD不足と疲労骨折のリスクの関連が指摘されており、海外のプロスポーツチームでは血中ビタミンDの管理が普通に行われています。デッドリフトやスクワットで骨格に高い負荷をかける筋トレ民が、この管理をゼロにしておく理由はありません。

30代の今はまだ骨の貯金がありますが、骨密度は年齢とともに確実に減ります。「今の筋トレを50代でも続けるための投資」として、ビタミンDは最も安い部類だと思っています。

飲み方|1日1粒を食後に。タイミングより「毎日」が大事

飲むと決めた場合の実務です。

項目 目安
サプリなら1日1,000〜2,500IUが現実的。国の基準では、耐容上限は1日100µg(4,000IU)
タイミング 食後。脂溶性なので、脂質を含む食事と一緒だと吸収が上がる。研究では1日で一番量の多い食事と一緒に飲むと血中濃度が約5割高くなった
頻度 毎日。体に貯蔵されるタイプなので、トレ前だけ飲むような使い方に意味はない
D3(コレカルシフェロール)を選ぶ。ソフトジェルが主流で、粒も小さく飲みやすい

私の運用はこうです。

  • マイプロテインのビタミンD3(1粒2,500IU)を、朝食後に1粒
  • プロテインやクレアチンと同じ棚に置いて、朝のルーティンに固定しています。トレ前サプリと違って飲むタイミングを考える必要がないので、習慣化はいちばん簡単な部類です
  • 1粒あたりの単価が非常に安いのもこのサプリの利点で、月あたりのコストは缶コーヒー1本程度。やめる理由を探すほうが難しい価格帯です

薬剤師としての注意点

  • 脂溶性ビタミンなので、摂りすぎた分は尿から出ていかず、体に蓄積します。「多いほど良い」は通用しません。サプリを何種類も重ねる人は、マルチビタミンにもビタミンDが入っていないか合算してください
  • 骨粗鬆症などで活性型ビタミンD製剤(エルデカルシトールなど)を処方されている方は、自己判断でサプリを足さないでください。高カルシウム血症のリスクが上がります。必ず主治医・薬局で相談を
  • 腎臓の病気で治療中の方、サルコイドーシスの方も、始める前に必ず相談してください
  • 健康な人が上の目安量で飲む分には、大きな問題は報告されていません

よくある質問(FAQ)

Q. 日光浴だけで足りない?サプリは必須?

夏なら、日中に手足を出して15〜30分歩けばかなりの量が作れます。問題はそれを毎日できるかです。ガラス越しの日光はUVBがカットされるので室内では作られず、日焼け止めを塗っても作られにくく、冬は緯度の関係でそもそも効率が激減します。屋内仕事の人が「日光だけ」で年間を通して足りる状態を保つのは、現実的にはかなり難しい——だからこそ98%という数字が出ています。

Q. 血液検査で自分の値を測れる?

測れます。指標は血中25(OH)D濃度で、骨粗鬆症の診療などでは保険適用で測定されます。健康な人が確認したい場合は、自費の検査やキットもあります。数値で見たい人は、健康診断のオプションで確認してみるのが確実です。

Q. 食事なら何に入っている?

魚(サケ・サンマ・イワシ)ときのこが二大供給源です。サケの切り身1枚で国の目安量(1日9.0µg)を超えるくらい入っています。魚を毎日食べる人なら食事でかなり稼げますが、肉中心の食生活だと途端に難しくなります。高タンパクで安い食材として魚の缶詰を常備するのは、タンパク質とビタミンDの一石二鳥です。

Q. マルチビタミンに入っている分じゃだめ?

製品によります。マルチビタミンのビタミンDは1粒400IU前後のものが多く、不足の穴埋めとしては心もとない量です。ラベルの含有量(IUまたはµg)を確認して、少なければ単体サプリで足す、という順番で考えると無駄がありません。

まとめ|体感ゼロでも、飲む理由がいちばん明確なサプリ

  • ビタミンDは骨だけでなく筋肉にも受容体がある、運動器全体の栄養素
  • 日本人の98%が不足。屋内仕事×屋内トレの筋トレ民は、不足の条件が最も揃っている
  • 筋力への効果は「不足している人が補うと少し上がる」。筋肉量を直接増やすサプリではない
  • 本命は骨とケガ予防。高重量を長く続けたい人ほど関係が深い
  • 飲み方はD3を1日1,000〜2,500IU、食後に毎日。上限は4,000IU、活性型ビタミンD製剤を使用中の人は自己判断で足さない

「飲んだら伸びる」系の派手さはありませんが、不足している確率の高さ×補正コストの安さで考えると、これほど割の良いサプリはあまりありません。サプリ全体の優先順位は本当におすすめしたいサプリメント9選にまとめているので、あわせてどうぞ。

参考文献

本記事の数値・結論は、以下の一次資料に基づいています。

  1. Miyamoto H, et al. Determination of a Serum 25-Hydroxyvitamin D Reference Ranges in Japanese Adults Using Fully Automated Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry. J Nutr. 2023;153(4):1253-1264. PubMed(東京の健診受診者約5,500人の98%が血中25(OH)D 30ng/mL未満。若年ほど欠乏が多く、体内ビタミンDはほぼD3由来)
  2. Farrokhyar F, et al. Prevalence of Vitamin D Inadequacy in Athletes: A Systematic-Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2015;45(3):365-378. PubMed(アスリートの56%がビタミンD不十分。屋内競技・高緯度・冬春でリスク増)
  3. Beaudart C, et al. The effects of vitamin D on skeletal muscle strength, muscle mass, and muscle power: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99(11):4336-4345. PubMed(補給で筋力は小さいが有意に向上。効果は血中濃度が低い集団で顕著、筋肉量・パワーへの効果は確認されず)
  4. Tomlinson PB, et al. Effects of vitamin D supplementation on upper and lower body muscle strength levels in healthy individuals. A systematic review with meta-analysis. J Sci Med Sport. 2015;18(5):575-580. PubMed(18〜40歳の健康な成人でビタミンD補給により上肢・下肢の筋力が向上)
  5. Owens DJ, Allison R, Close GL. Vitamin D and the Athlete: Current Perspectives and New Challenges. Sports Med. 2018;48(Suppl 1):3-16. PubMed(アスリートにおけるビタミンDの役割の総説。骨・疲労骨折リスクとの関連、補給の考え方)
  6. Mulligan GB, Licata A. Taking vitamin D with the largest meal improves absorption and results in higher serum levels of 25-hydroxyvitamin D. J Bone Miner Res. 2010;25(4):928-930. PubMed(1日で最大の食事と一緒に摂ると血中25(OH)D濃度が約50%高くなった)
  7. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)(成人のビタミンD目安量9.0µg/日・耐容上限量100µg/日の根拠)

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ぽんず
筋トレ×薬剤師ブロガー
初めまして、ぽんずと申します。薬剤師として勤務しながら、かっこいい身体を目指して筋トレに励んでいます。

筋トレ歴は2年半で、体脂肪率23.4%→10.7%を実現。「がんばらない」をテーマに、実体験をもとに初心者向けに発信します。
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