デッドリフトで腰を痛めない7つのルール|反り腰で痛めた私が「腹圧」を最優先にする理由【100kg×5回】
「デッドリフトは腰を痛めそうで怖い」「背中を丸めるなとは聞くけど、ほかに何に気をつければいいの?」——デッドリフトは背中から脚まで一度に鍛えられる王道種目ですが、腰のケガがいちばん心配な種目でもあります。
私はいま、背中の日に週1回、床から引くデッドリフトを80→90→100→100→100kg×各5回で行っています。ただ、始めたばかりの頃に一度腰を痛めました。原因は腰を反りすぎていたことと、腹圧をうまく使えていなかったことです。立っているだけで腰が痛む状態が、2週間ほど続きました。
この記事では、その失敗から身につけた腰を守る7つのルールと、やり方・重量設定、痛めたときの対処までを解説します。
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結論|腰を守るカギは「腹圧」と「バーの通り道」

| ルール | やること | 守れるもの |
|---|---|---|
| ① 腹圧を入れる | 毎レップ、息を吸ってお腹を360度固める | 腰の丸まり・反りすぎを両方防ぐ |
| ② ベルトは1セット目から | 最初のセットから巻いて、腹圧の入れ方を毎回そろえる | 腹圧のかけ忘れ |
| ③ バーをすねに沿わせる | 体から離さず、すね→太ももをこするように | 腰への「てこ」の負担 |
| ④ 足裏全体で床を押し出す | 背中で引かず、脚で床を押す | 腰だけで引き上げる癖 |
| ⑤ 肩を下げる | 肩をすくめず、脇を締めてバーを体に引き寄せる | 背中の丸まり |
| ⑥ バーを垂直に上げる | 横から見てバーが一直線に動く | 軌道のブレ |
| ⑦ 握力はギアに任せる | パワーグリップで握力切れを防ぐ | 後半セットのフォーム崩れ |
7つのうち、私がいちばん大事にしているのは①の腹圧です。腰を痛めてから、ここだけは一度も手を抜いていません。
デッドリフトで腰を痛める原因は「丸まり」と「反りすぎ」

デッドリフトの注意点としてよく言われるのは「背中を丸めるな」です。もちろん正しいのですが、反対方向の失敗=反りすぎもあります。私が痛めたのはこちらでした。
| 姿勢 | 起きやすい場面 | 腰への影響 |
|---|---|---|
| 丸まる | 重量が重すぎる/握力が切れる/バーが体から離れる | 腰椎が曲がった状態で重さを受ける |
| 反りすぎる | 「丸めるな」を意識しすぎる/立ち上がりで腰を突き出す | 腰の後ろ側に負担が集中する |
| まっすぐ(ニュートラル) | 腹圧で胴体が固まっている | 重さを脚と背中全体で受けられる |
デッドリフトは、背中(脊柱起立筋)や太ももの前、お尻、もも裏まで体の後ろ側を中心に全身を使う種目です。そのぶん、胴体が固まっていないと重さが腰の一点に集まります。
私が腰を痛めたときのこと
デッドリフトを始めた頃の私は、腰を反らせすぎたフォームで引いていました。しかも腹圧をうまく使えておらず、お腹で胴体を固められていない状態です。
その結果、立っているだけで腰が痛むようになりました。病院には行かず、バーベルスクワットとデッドリフトを止め、ほかの種目は痛みに合わせて調整しながら過ごし、2週間ほどで改善しました。
振り返ると、原因は「反りすぎ」と「腹圧不足」の2つ。背中を丸めないために必要だったのは、反ることではなく、お腹を固めることだった——これが、今の私のフォームの出発点です。
腰を痛めない7つのルール

① 腹圧を入れて、胴体を1本の柱にする
引く前に大きく息を吸い、お腹を前後左右360度にふくらませるように固めます。これが腹圧です。研究でも、腹圧が高まると腰の骨(腰椎)の安定性が増すことが示されています。
コツは毎レップ入れ直すこと。1回目だけ固めて、2回目以降は呼吸したまま引いてしまう人が多いです。1レップごとにバーを床に置き、息を吸って腹圧を入れ直してから引くのがおすすめです。腹圧のコントロールは、私が腰を痛めてからいちばん意識しているポイントでもあります。
② ベルトは1セット目から巻く
私はトレーニングベルトを80kgの1セット目から巻いています。理由は2つで、腰痛予防と、ベルトがあると腹圧をかけやすいからです。ベルトを巻いてデッドリフトをすると、腹圧が早く・高く立ち上がるという研究もあります。
ベルトはただ巻くだけでは効果が薄く、ベルトを内側から押し返すようにお腹をふくらませるのが使い方です。軽いセットから巻いておくと、本番の重いセットで腹圧の入れ方がぶれません。
③ バーをすねに沿わせる
バーが体から離れるほど、腰にはてこの原理で大きな負担がかかります。構えたときにバーは足の甲の真ん中(靴ひもの上)、引くときはすねをこする→太ももをこするように上げます。すねが当たって痛い人は、ロングソックスやすね当てを使うと安心です。
④ 足裏全体で床を押し出す
デッドリフトは「バーを引き上げる」より「床を足で押し出す」種目だと考えています。背中で引こうとすると腰が先に動き、お尻だけが上がって前かがみのまま引く形になりがちです。かかと・親指の付け根・小指の付け根の3点で床を押すと、脚の力でバーが床から離れます。
⑤ 肩を下げる
肩をすくめると背中の上部が丸まり、バーも体から離れます。肩を耳から遠ざけるように下げ、脇を締めてバーを体に引き寄せると、背中全体がまっすぐ固まります。「脇でバーを挟む」イメージを持つとわかりやすいです。
⑥ バーを垂直に上げる
横から見たとき、バーは床から立ち上がるまで一直線に動くのが理想です。前に弧を描くのは、バーが体から離れているサイン。スマホで真横から撮影すると、自分の軌道がすぐわかります。
⑦ 握力はパワーグリップに任せる
デッドリフトは重量が重いぶん、背中より先に握力が限界になりやすい種目です。握力が切れかけると、バーが指先にずれて体から離れ、背中も丸まります。私はパワーグリップで握力を補い、背中と脚に集中しています。
握力の問題は筋トレで握力が先に疲れる問題の解決法で詳しく書いています。ベルトとグリップを含めたギアの揃え方は筋トレギアはこの順番で揃える!をどうぞ。
デッドリフトのやり方|構えから下ろすまで6ステップ
- 足幅を決める:腰幅程度に立ち、バーが足の甲の真ん中にくる位置へ。つま先はやや外向き
- バーを握る:お尻を引いて前かがみになり、すねのすぐ外側でバーを握る。パワーグリップを使う場合はここで巻き付ける
- 腹圧を入れる:大きく息を吸い、お腹を固める。ベルトを巻いている場合はベルトを押し返す
- 肩を下げて構える:脇を締め、すねがバーに触れるまで膝を軽く曲げる。背中はまっすぐ、目線は2〜3m先の床
- 床を押し出して立つ:足裏全体で床を押し、バーをすね→太ももに沿わせて垂直に引き上げる。立ち上がったら腰を反らせず、お尻を締めて止める
- 同じ軌道で下ろす:お尻を後ろに引きながら、太もも→すねに沿わせて床へ。床に置いたら息を吸い、腹圧を入れ直して次のレップへ
5の「立ち上がったら腰を反らせない」は、まさに私が痛めたポイントです。体がまっすぐになったところがゴールで、そこから先に反る必要はありません。
卒業条件の目安
- 軽い重量(バー+軽いプレート)で、5回×3セットを同じフォームで再現できる——ここまでは重量を足さない
- 真横から撮った動画で、腰が丸まっていない・反りすぎていない
- バーが体から離れず、一直線に上がっている
この3つを満たしたら、2.5〜5kgずつ重量を足していきます。フリーウェイト自体がはじめてなら、フリーウェイトデビュー完全ガイドから読むのがおすすめです。
重量設定と頻度|私は週1回・5レップのピラミッド

私のデッドリフトは、背中の種目の最後(3〜4種目目)に入れています。セットの組み方は次のとおりです。
| セット | 重量 | 回数 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1 | 80kg | 5回 | 腹圧とフォームの確認(ベルトはここから) |
| 2 | 90kg | 5回 | 重さに体を慣らす |
| 3〜5 | 100kg | 5回 | メインセット |
※重量は私個人の目安です。体格や経験によって適正重量は変わります。
回数は5回程度に抑える
デッドリフトは回数が増えるほど、腹圧が抜けて腰が丸まりやすくなります。5回程度に抑えると、最後のレップまで同じフォームで引きやすいのがメリットです。回数を増やすより、全レップで腹圧を入れ直せるかを優先しましょう。
頻度は背中の日に週1回
デッドリフトは全身を使うぶん、疲労も大きい種目です。私は背中の日に週1回だけ入れ、背中の日のほかの種目は懸垂・ラットプルダウン・ローイングなど、腰への負担が少ない種目で組んでいます。背中の日の組み方は筋トレの分割法、記録はBurnFitでつけています。
もし腰を痛めたら|私が2週間でやったこと

痛めたときに私がやったのは、腰に負担の大きい種目だけを止めることでした。
| 期間 | やったこと |
|---|---|
| 痛めた直後 | バーベルスクワットとデッドリフトを中止 |
| 痛みがある間 | ほかの種目は、痛みが出ない範囲に重量や種目を調整して継続 |
| 約2週間後 | 立っていても痛まない状態まで改善 |
| その後 | 腹圧のコントロールをいちばん意識するようにした |
急な腰痛(ぎっくり腰のような痛み)の多くは、時間とともに自然に良くなるとされています。完全に寝たきりで休むより、痛みの出ない範囲で普段どおり動くほうが回復しやすいという考え方が主流です。
薬剤師として伝えたいこと
- 痛み止めで痛みを消してトレーニングするのはおすすめしません。痛みは「その動きは今は無理」というサインです
- 市販の痛み止め(ロキソプロフェンなど)は、日常生活のつらさを和らげる目的なら選択肢になります。胃が弱い人、持病や飲んでいる薬がある人は、購入時に薬剤師に相談してください
- 脚のしびれ・力が入らない・排尿や排便の異常・発熱・安静にしていても強く痛む場合や、痛みが長引く場合は、自己判断せず整形外科を受診してください
再開するときは、いきなり元の重量に戻さないのが安全です。軽い重量で、腹圧とフォームを確認するところから始めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 初心者でもベルトを使っていい?
使ってOKです。ベルトは「重量を上げるための道具」というより、腹圧の入れ方を体で覚える練習道具です。ただしベルトに頼りきりにならないよう、ベルトを押し返す意識は必ずセットで。
Q. 床引きとルーマニアンデッドリフト、どっちがいい?
目的で選びます。床から引く通常のデッドリフトは背中と太ももの前まで幅広く使い、ルーマニアンデッドリフト(膝をあまり曲げず、太ももの途中まで下ろす)はもも裏の割合が大きくなります。私は背中の日なので床引きです。
Q. 背中の日と脚の日、どちらに入れるべき?
どちらでもOKです。私は背中の日に入れています。脚の日に入れる場合は、スクワットも腰を使う種目なので、同じ日に両方を高重量でやらないなど疲労の重なりに気をつけましょう。
Q. 腰が丸まっているか、自分ではわからない…
スマホで真横から撮影するのがいちばん確実です。腰のラインが「まっすぐ」「丸まっている」「反っている」のどれかを、1セットだけでも確認してみてください。
まとめ|反るのではなく、お腹で固める
- デッドリフトで腰を痛める原因は、丸まりだけでなく反りすぎもある
- いちばん大事なのは腹圧。毎レップ息を吸って、お腹を360度固め直す
- ベルトは1セット目から巻いて、腹圧の入れ方を毎回そろえる
- バーはすねに沿わせて垂直に。足裏全体で床を押し出し、肩は下げる
- 握力が先に切れるならパワーグリップで補い、フォーム崩れを防ぐ
- 痛めたら、腰に負担の大きい種目だけを止める。しびれなどがあれば受診
次のデッドリフトでは、1レップごとに「息を吸って、お腹を固める」を入れ直すことから始めてみてください。
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参考文献
- Cholewicki J, Juluru K, McGill SM. Intra-abdominal pressure mechanism for stabilizing the lumbar spine. J Biomech. 1999;32(1):13-17. PubMed(腹圧が腰椎の安定性を高めるという根拠として)
- Harman EA, Rosenstein RM, Frykman PN, Nigro GA. Effects of a belt on intra-abdominal pressure during weight lifting. Med Sci Sports Exerc. 1989;21(2):186-190. PubMed(ベルト着用でデッドリフト中の腹圧が高まるという根拠として)
- Martín-Fuentes I, Oliva-Lozano JM, Muyor JM. Electromyographic activity in deadlift exercise and its variants. A systematic review. PLoS One. 2020;15(2):e0229507. PubMed(デッドリフトで働く筋肉と、ルーマニアンデッドリフトとの違いの根拠として)
- Aasa U, Svartholm I, Andersson F, Berglund L. Injuries among weightlifters and powerlifters: a systematic review. Br J Sports Med. 2017;51(4):211-219. PubMed(高重量を扱う競技で腰・肩・膝のケガが多いという根拠として)
- Qaseem A, Wilt TJ, McLean RM, Forciea MA. Noninvasive treatments for acute, subacute, and chronic low back pain: a clinical practice guideline from the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2017;166(7):514-530. PubMed(急性腰痛の多くが時間とともに改善するという根拠として)
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