懸垂ができない人の練習ステップ4段階|0回から始めて5回まで引けるようになった順番
懸垂は、ジムの種目のなかでも珍しく「できる」と「できない」がはっきり分かれる種目です。ベンチプレスなら重量を下げれば誰でも1回はできますが、懸垂は自分の体重が最低重量。軽くする方法がない——ここが最大の壁です。
私も最初は1回も上がりませんでした。今は5回前後。劇的な数字ではありませんが、0回と1回の間にある壁は、5回と10回の差よりずっと厚いと実感しています。
この記事では、私が実際に踏んだ順番——ラットプルダウン → アシストマシン → ネガティブ → 自重——を、そのまま4ステップとして解説します。「毎日ぶら下がっていればそのうちできる」式の根性論は書きません。
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結論|この4ステップで順番に上がる

| ステップ | やること | 卒業の目安 |
|---|---|---|
| ① 下地作り | ラットプルダウン | 体重の70〜80%を10回 |
| ② 動作を覚える | アシスト懸垂マシン | 補助を体重の20%以下にして8回 |
| ③ 降りるを鍛える | ネガティブ懸垂 | 5秒かけて降りるを5回 |
| ④ 回数を積む | 自重+①〜③の併用 | 5回×3セット |
そして、多くの人が引っかかる2つの壁が別にあります。
- 握力が先に限界になる(背中はまだ余裕があるのに手が外れる)
- 肩がすくんで背中に効かない(腕と首だけが疲れる)
私はこの2つ両方で止まりました。後半で対処法を書きます。
その前に|なぜ「ぶら下がるだけ」では上達しないのか
まず前提を1つ。懸垂ができない理由は「筋力不足」だけではありません。分解すると3つあります。
| 足りないもの | 症状 | どのステップで解決するか |
|---|---|---|
| 引く筋力 | 全く上がらない | ① ラットプルダウン |
| 動作の再現性 | マシンなら引けるのにバーだと無理 | ② アシストマシン |
| 保持する力(握力・下降制御) | 途中で落ちる・すぐ手が離れる | ③ ネガティブ |
よく言われる「毎日バーにぶら下がる」は、このうち握力にしか効きません。足りない要素を特定せずに練習しても、伸びないのは当然です。だから順番が要ります。
ステップ①|ラットプルダウンで「引く筋力」を作る
いきなりバーにぶら下がっても、上がらない回数が増えるだけで練習になりません。まずは重量を自由に設定できるマシンで、引く力そのものを作ります。
目安は、体重の70〜80%を10回引けること。体重60kgなら42〜48kgです。ここに届いていない段階で自重懸垂(=体重100%)に挑むのは、計算上かなり無理があります。
ただし、重量を上げるだけでは足りません。ラットプルダウンは「効かせ方」を間違えると腕ばかり鍛える種目になるからです。
- 肩を下げてから、肘で引く(手はバーに引っかかっているだけと考える)
- バーは鎖骨に向かって下ろす
- 反動なしで引ける重量まで落とす
このあたりはラットプルダウンが背中に効かない5つの原因に詳しくまとめています。懸垂に必要なのは「引ける重量」ではなく「背中で引ける重量」なので、先にそちらを固めてください。
ステップ②|アシスト懸垂マシンで動作を覚える
ラットプルダウンで重量を扱えるようになっても、バーにぶら下がると1回も上がらない——これは普通に起こります。マシンは軌道が固定されていますが、懸垂は体をコントロールしながら引く必要があるからです。
そこでアシスト懸垂マシン(膝や足を乗せると補助してくれるマシン)を使います。このステップの目的は筋力ではなく「動作の学習」です。
補助重量の下げ方
| 段階 | 補助重量の目安(体重60kgの場合) | 回数 |
|---|---|---|
| 開始 | 体重の50%(30kg) | 8〜10回 |
| 中盤 | 体重の30%(18kg) | 8回 |
| 卒業 | 体重の20%以下(12kg) | 8回 |
補助を減らすタイミングは、「8回できたら次の重量へ」でいいと思います。ここで焦って一気に減らすと、次のステップに進んでも動作が崩れたままになります。
なお注意点として、アシストマシンは楽に上がるぶん、肩がすくんだままでも回数がこなせてしまいます。フォームの確認をサボると、自重に移ったときに何も残りません。
ステップ③|ネガティブ懸垂で「降りる」を鍛える
これが一番の近道でした。そして一番やっている人が少ないメニューでもあります。
ネガティブ懸垂は、上がる動作を飛ばして、降りる動作だけを行う練習です。
やり方
- 台や膝を使って、顎がバーの上にある状態からスタートする
- そこから5秒かけてゆっくり降りる
- また台に足をつけてスタート位置に戻る
- これを5回×3セット
筋肉は、縮みながら力を出すとき(上がる動作)より、伸ばされながら力を出すとき(降りる動作)のほうが強い力を発揮できます。つまり「上がれない人でも、降りることはできる」。この差を利用して、自重を扱う練習を先取りするわけです。
卒業の目安は、5秒かけて降りるのを5回。ここまで来ると、次のステップで1回目が出ます。
私の場合、1回目が上がったのはこのネガティブを取り入れてからでした。順番としては、ラットプルダウンとアシストマシンを続けながら、背中の日の最後にネガティブを3セット足すという形にしていました。
ステップ④|1回上がったら、回数の積み方を変える
1回上がったあと、多くの人が「2回目」で止まります。ここからは練習の仕方を変えます。
やってはいけないのが、毎回1回で終わること。1回×1セットでは、練習量がまったく足りません。
回数を積む3つの方法
| 方法 | やり方 | 向いている段階 |
|---|---|---|
| 少ない回数×多セット | 1〜2回を5セット(インターバル長め) | 1〜2回の段階 |
| 合わせ技 | 自重で限界 → そのままアシストで追加 | 3回前後 |
| ネガティブ追い足し | 自重で限界 → ネガティブを3回 | 全段階 |
一番効くのは「少ない回数×多セット」です。1回しかできなくても、5セットやれば合計5回。1回×1セットの5倍の練習量になります。総回数(ボリューム)が増えないと筋肉は変わらないので、ここは素直に量を積むのが早いです。
そして懸垂は週2回までにしておくのがおすすめ。背中は大きい筋肉で回復に時間がかかるので、毎日やると回復が追いつきません(分割法の記事の考え方と同じです)。
壁①|握力が先に限界になる
ここからは、私が実際に止まった2つの壁です。
背中はまだ引けるのに、手が先に外れる。これは懸垂で最も多い挫折ポイントだと思います。背中は体の中でも大きい筋肉なので、扱える負荷に対して握力のほうが構造的に先に音を上げるのは仕方がありません。
対策は2つあります。
1. パワーグリップを使う
握力の補助をギアに任せると、背中に集中できます。私はALLOUTのパワーグリップを使っていますが、導入したときは正直「今までのセットは何だったのか」と思いました。懸垂だけでなく、ラットプルダウン・ローイング・デッドリフト系すべてで使い回せます。
2. サムレスグリップを試す
親指をバーに巻かず、4本指で引っ掛ける握り方です。前腕の力みが減り、背中に意識を向けやすくなります。ただし落下のリスクがあるので、高さと安全確認は必須です。
握力そのものの話は筋トレで握力が先に疲れる問題の解決法にまとめています。
壁②|肩がすくんで背中に効かない
もう1つの壁がこれです。引いているのに、疲れるのは腕と首だけ。バーにぶら下がった瞬間、肩が耳に近づいた状態のまま引くと、負荷は広背筋ではなく僧帽筋の上部(肩こりの筋肉)に逃げます。
対策は、引く前に1動作を挟むことです。
- バーにぶら下がる(肩が上がった状態)
- 腕を曲げずに、肩だけをストンと下げる(肩甲骨を下制する)
- その位置から引き始める
この②が抜けている人が本当に多いです。ぶら下がった状態で肩を下げるだけの動きを「スキャプラプルアップ」と呼び、これ自体が立派な練習メニューになります。1回も懸垂ができない段階でも取り組めるので、ステップ①〜②と並行してやる価値があります。
胸を軽く張り、鎖骨をバーに近づけるイメージで引くと、さらに背中に乗ります。顎を越えることを目的にすると首から引き上げる癖がつくので、意識するのは顎ではなく胸です。
よくある質問(FAQ)
Q. 順手と逆手、どっちから始めるべき?
逆手(チンニング/手のひらが自分側)のほうが上がりやすいです。上腕二頭筋が強く関与するぶん、1回目が出やすくなります。まず逆手で成功体験を作り、慣れてから順手に移るのは合理的な進め方です。
Q. 家に懸垂バーを買うべき?
ジムに通っているなら不要だと思います。アシストマシンとラットプルダウンがある環境のほうが、ステップ①②を踏みやすいからです。宅トレ中心なら、ドア枠タイプより据え置き型のスタンドを選んでください(安全性が違います)。
Q. 体重が重いと不利ですか?
不利です。懸垂は自分の体重を引き上げる種目なので、体重が軽いほど有利になります。ただし体重を落とすと引く筋力も落ちやすいので、狙うなら除脂肪体重を維持したまま脂肪だけ落とす形です(→リーンバルクのやり方)。
Q. どれくらいの期間でできるようになりますか?
個人差が大きすぎるので、期間ではなく「ステップの卒業条件を満たしたか」で判断してください。ラットプルダウンで体重の70〜80%を10回引けているのに1回も上がらない、という状況はまず起こりません。上がらないなら、たいていどこかのステップを飛ばしています。
Q. 何回できれば「できる人」ですか?
明確な基準はありませんが、5回×3セットが安定して組めれば十分だと思います。そこから先は回数を伸ばすより、加重懸垂に進むほうが背中は育ちます。
まとめ|順番を守れば、根性は要らない
- 懸垂は体重が最低重量の種目。だから「まず軽くする」工夫が要る
- ① ラットプルダウンで体重の70〜80%を10回 → 引く筋力を作る
- ② アシストマシンで補助を体重の20%以下に → 動作を覚える
- ③ ネガティブで5秒×5回 → ここで1回目が出る
- ④ 1回できたら「少ない回数×多セット」 → 総量を積む
- 握力が先に切れるならパワーグリップ、肩がすくむなら引く前に肩を下げる
「毎日ぶら下がる」より、足りない要素を1つずつ埋めるほうが早いです。私自身、ネガティブを足すまで1回目が出ませんでした。今5回前後で止まっていますが、順番を間違えなければ確実に前に進む種目だと思っています。
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